ローテンブルクからロマンティック街道を、南に40kmほど下ったところにあるのが、ディンケルスビュールです。人口1万人程度の小さな町ですが、それが反対にこの町の魅力ともなっているようです。どんな町か紹介してみましょう。
中世の景観が残された町
中世の街並みとはいっても、実際は近代になって復元したものであったり、町のほんの一部分がいわば歴史地区として残っているだけ。そんなことが結構あったりしますが、その点で言えば、ディンケルスビュールの街並みはまさに本物! 町全体が12世紀から16世紀の景観のままで維持されています。
それもそのはず、この町は三十年戦争で焼かれることも、第2次世界大戦で被害を被ることもありませんでした。
だからこそ、中世の街並みはもちろん、14世紀の後半に築かれた城壁までもが、今なおほぼ完全な姿で残っているのです。
心癒される小さな町
ディンケルスビュールはこじんまりとした、本当に可愛らしい町です。
のんびりしたいと思って旅行に出たのに、観光客が多くて反対に疲れてしまった。そんな経験はないでしょうか。そんな方には、ディンケルスビュールはピッタリです。
中世の風情を感じつつ、町の中をぶらぶらと散策して、気が向いたら城壁の外なども歩いてみる。何と言っても小さい町ですから、道に迷ったりすることもありません。
夏のお祭り「キンダーツェッヘ」
静かで落ち着いた町が、年に一回だけ大賑わいになることがあります。それが夏に行われる子供たちのお祭り「キンダーツェッヘ Kinderzeche」です。
ディンケルスビュールの町は三十年戦争で焼かれなかったと上に書きましたが、実は焼かれる寸前まで行ったことがありました。1632年のことです。新教側に立つスウェーデン軍に攻められて町は陥落し、スウェーデン軍の隊長は町を焼き払うと言い放ってききません。
そこに現れたのが、ローレという少女に引き連れられたこの町の子供たちでした。憐れみを求める彼女たちの願いが通じ、町は救われることになるのですが……。
つまりはそれを記念したお祭りがキンダーツェッヘというわけで、子供たちにお菓子が振舞われたり、仮装してその当時の様子を再現したり、といったことが行われます。
7月の第3月曜日を挟んで、前後10日にわたって催されますので、ロマンティック街道を旅行されるのであれば、ぜひぜひその期間に合わせてプランを組まれることをおすすめします。
(以上)