世界的にも有名なピサの斜塔ではありますが、そもそも何のための塔なのか、いつ建てられたものなのかなど、「詳しいことはよく知らない」というのが普通ではないでしょうか。そこで今回はピサの斜塔について、少しだけ詳しく紹介してみたいと思います。
大聖堂の鐘楼として建設
ピサの斜塔があるのは、世界遺産にも登録されている「ピサのドゥオーモ広場」の中です。建設が始められたのは1173年のことでしたが、政治的な混乱などもあって、完成までには180年ほどの時間を要しました(1350年)。
もちろん単なる塔というわけではなく、本来の役目は鐘楼です。先に完成していた聖堂(本堂)と洗礼堂とともに、ピサの大聖堂の一部を構成しています。
なぜ塔は傾いているのか?
塔の高さは約56mで、傾斜角は4.5度。最上階の中心部は、本来の設計予定から約4.5mほどずれているそうですが……、そもそもなぜ、この塔は傾いてしまったのでしょうか? もちろん答えは簡単というか、誰にでも想像がつくものでした。
つまりは地盤沈下です。ピサの町はアルノ川の河口近くに出来た町ですから、そもそも地盤が軟弱だった上に、なんと総重量1万5千トン近い塔を建てようとしたわけです。
これではむしろ、傾かない方がおかしいと言えそうですし、実際、3層目の建設中にはもうすでに大きく傾いているのが分かっていたそうです。なお、そばに建っている聖堂や洗礼堂も、鐘楼ほどには目立ちませんが、やはり地盤沈下で傾いています。
塔に登ることはできるのか?
人間というもの、そこに塔が立っているのであれば、やはり登ってみたくなるものですが、嬉しいことに、ピサの斜塔にも登ってみることは可能ですし、しかも一番上の屋上部分まで上れます。
ただし、狭いラセン階段を300段ほど、エッチラオッチラ登らなければなりませんので、その点にはご注意を! また回廊部分にも、手すりというか柵が設けられていますから、途中の階層部分で外に出てみることも可能です。
定員制なので、時間には気をつけて!
ピサの斜塔の場合、いつでも気軽に登れるというわけではありません。定員制で時間毎に区切られていますから、現地に着いたら、まずはチケットの入手が最優先です。
そして、自分の入場時間を確認した後、それに合わせて、聖堂や洗礼堂を見学する。そんな時間の使い方が一番です。
塔内の見学時間は約30分。カメラなどの小さな物以外は持ち込めませんので、バッグなどの荷物は一時預かり所で預かってもらわなければなりません。
ガリレオの実験で有名
最後に一つ質問です。同じ形をした1kmのオモリと3kmのオモリがあります。両方を同じ高さから同時に落としたら、さて、どちらのオモリが先に地面に着くでしょうか?
そんな実験をしたのが、あのガリレオ・ガリレイですが、しかもそれをやったのが、このピサの斜塔でした。
いずれにしても高所恐怖症でないのなら、是非とも塔の上まで登ってみてください。ドゥオーモ広場の様子はもとより、ピサの町の眺望が楽しめます。
ちなみに先の答えですが、物体の質量と落下の速度は無関係。つまりは、重くても軽くても、落ちる速度は同じこと。それがガリレオの導き出した結論でした。
(以上)