ドイツで魔女の住む山といえば、誰でも知っているのがブロッケン山です。場所はドイツ北中部に位置するハルツ山地の中。近くのヴェルニゲローデという小さな町から、SLに乗って登っていきます。どんなところか紹介してみましょう。
ブロッケン山とは?
写真で見る限り、ブロッケン山は何の変哲もない、ただのなだらかな山にしか見えません。ハルツ山地の中では一番の高さを誇りますが、それでも1,141mしかありません。
ところが古来より、神秘の山、魔女の住む山と信じられてきました。年中、霧が立ち込めているだけでなく、「ブロッケン現象」という不思議な気象現象も見られるからです(1年の内、霧が出る日数は平均260日。しかも100日ほどは、一日中霧が立ち込めています)。
出発点はヴェルニゲローデ
ブロッケン山への出発点は、ハノーファーから南東100kmほどのところにあるヴェルニゲローデ Wernigerode という町です。古い家並みがよく残っていますので、山の上に建つヴェルニゲローデ城ともども、まずは見学しておいて損はありません。
マルクト広場からヴェルニゲローデ城までは、直線距離にすると1kmもありませんが、城があるのは高さ350mの山の上。歩くのがちょっとしんどそうと思うなら、ミニ観光列車を利用するのが賢明です。
もとは12世紀の初め頃に建てられた城でしたが、その後、三十年戦争などを経て荒廃。1858年から行われた改築によって、バロックとネオゴシック様式の建物となりました(現在は博物館として公開されています)。
SLに乗って、いざ出発!
ヴェルニゲローデからは、ハルツ狭軌鉄道のSL路線・ブロッケン鉄道 Brockenbahn に乗ります。
ブロッケン山頂駅までは約2時間。SLというところが鉄道ファンには嬉しいところですね。
頂上を散策してみましょう!
電波塔の立つ山頂には博物館のほか、周遊のハイキングコースもありますから、天候さえ良ければ、ぐるっと一周してみてはどうでしょうか。ブロッケン山でしか見れない植物などもあって、結構楽しいのではないかと思います。
ただし、この山、1141mしかないとはいっても、年間の平均気温はなんと2.9℃。5月までは雪が残っているような場所ですので、安易な行動だけは取らないことが大切です。
ブロッケン山は、ヴァルプルギスの夜に魔女たちが集まる山として、ゲーテの『ファウスト』にも登場していますが……、彼女たちがやって来るのは年に1度だけ。残念ながらと言うべきか、皆さんが魔女に出会うことはなさそうです。
(以上)