バイエルン州の南部。ドイツ・アルプスの山々に抱かれた町がベルヒテスガーデンです。見どころは神秘の湖「ケーニヒ湖」と、ヒトラーの山荘「ケールシュタインハウス」。一見奇妙な取り合わせですが、自然の雄大さと美しさを存分に楽しめる人気の観光スポットです。
ベルヒテスガーデンって、どこにあるの?
ミュンヘンから南東方向へ、直線距離にして約100km。オーストリアのザルツブルクからであれば、南に30kmほど下ったところにあるのが、人口7,800人ほどの小さな町ベルヒテスガーデンです。
ヴァッツマン(Watzmann、2713m)をはじめとするドイツ・アルプスの山々に囲まれた、ドイツでも人気の景勝地とあって、今では多くの旅行者が訪れる町となっていますが、もともとは岩塩の採掘で繁栄した町でした。
町の中心といえるのは、高台にある広場周辺です。お城に市庁舎、そしてロマネスク様式のシュティフト教会などが建っています(ただし、お城の内部は博物館です)。
さて、ベルヒテスガーデンという町に不幸が舞い込んだのは1920年代のことでした。風光明媚なこの町に、ナチスが目を付けたからです。土地は買収され、高官たちの保養地になっただけでなく、親衛隊の施設まで造られました。
ヒトラーの山荘「ケールシュタインハウス」が町の近辺に建てられたのも、いわばそういった背景があったからです。
≪関連情報≫
スポット名:ベルヒテスガーデン (Berchtesgaden)
ザルツブルクから鉄道で約1時間。
ミュンヘンからなら約2時間40分(フライラッシング Freilassing で乗り換え)。
ドイツで最も美しい「ケーニヒ湖」
ベルヒテスガーデンの人気観光スポットと言えば、まずは「ドイツで一番美しい湖」と評判のケーニヒ湖(Königssee)が挙げられます。駅前からバスに乗れば、10分少々で湖のほとりまで来られますが、思いのほか観光地化されているとあって、どこが「神秘の湖なんだ?」と思われるかもしれません。
実は船着場から船に乗って、ずっと奥へと入って行かなくてはなりません。ちなみにこの湖、汚染や騒音を防止するためもあって、手漕ぎやペダル踏みのボート、あるいは電動の船しか許されていません。
なお、Königssee というドイツ語。ケーニヒスゼーと発音しますが、König は王様で、seeは湖を意味します。まとめると「王様の湖」となりますね。
そもそもケーニヒ湖は、巨大な氷河がアルプスの谷に流れ込んでできたものだそうです。つまりはその谷を、船でずっと遡って行くわけですね。
ちなみに最初の目的地は、聖バルトロメー修道院(Sankt-Bartholomä)です。途中で船が止められ、船長さんがトランペットを吹いてくれるのですが、岩壁によるエコー効果もあって、これがなかなかに見事です。
さて、聖バルトロメー修道院までの所要時間は約40分です。時間がなければ、ここから戻っても構わないわけですが、もし時間があるのであれば、さらに奥を目指すことをおすすめします。
船に揺られること20分。さらに船着場からは森の中を10分ほど歩きます。そしてやっと到着したところが、オーバーゼーです(「上の湖」という意味)。
ケーニヒ湖が「神秘の湖」と言われる由縁も、さすがにここまで来るとうなずけますね。
≪関連情報≫
スポット名:ケーニヒ湖の遊覧
アクセス:ベルヒテスガーデン駅からバスで10分
営業時間:季節により運行時間が変わります(公式サイトで確認を!)
休業日:悪天候や凍結時には運休
電話番号:8652-96360
料金:聖バルトロメーとの往復 €14.50、聖バルトロメーとオーバーゼーとの往復 €5
(ただし、6~17歳は半額)
詳細情報:こちら
ヒトラーの山荘「ケールシュタインハウス」
ベルヒテスガーデンを代表するもう一つの観光スポットといえば、ヒトラーの山荘「ケールシュタインハウス」です。建てられたのは1940年のこと。ヒトラーの側近として有名なマルティン・ボルマンが、50歳を迎えるヒトラーへの誕生日プレゼントとして造らせました。
しかも、道のないところに専用道路を通し、最後はエレベーターまで設置しての話です。
山荘の場所は、ベルヒテスガーデン近くのケールシュタインの頂上。戦後は1960年までアメリカ軍によって占領されていましたが、今ではレストランとなって公開されています。
実はこの山荘、アメリカ軍の管理下にあったことから、イーグルス・ネスト(Eagle’s Nest)とも呼ばれています。「鷹の巣」という意味ですね。
山荘へのアクセス方法は、基本的には専用の登山バスと決まっています。もちろん、乗用車の乗り入れはNG。駐車場から徒歩で登ってくることは可能ですが、少なくとも2時間半程度はかかります。
なお、登山バスを降りるのは、1700m付近です。最後は専用のエレベーターで124mを一気に上ります。登山バスはもちろん、エレベーターの利用料も、すべて見学料に含まれています。
残念ながら山荘自体には、見るべきものはたいしてありませんが、それでも頂上からの眺めを堪能できるだけで十分ではないでしょうか。
ちなみに、ヒトラー自身がこの山荘を訪れたのは、ほんの10回程度だったそうです。一説には高所恐怖症だったとも言われていますが、真偽のほどは不明です。
≪関連情報≫
スポット名:ケールシュタインハウス (Kehlsteinhaus)
住所:Kehlsteinhaus, 83471 Berchtesgaden
アクセス:バスをHintereckで下車。登山バスに乗り換えて、最後は専用エレベーター。
営業時間:5月中旬~10月中旬、悪天候時は休業の場合あり
電話番号:8652-2969
見学料金:大人16.10ユーロ、14歳まで9.30ユーロ
(登山バス、専用エレベータ代込み)
詳細情報:こちら
最後に……
バイエルン南部の景勝地ベルヒテスガーデン。その一番の観光スポットともいえる「ケーニヒ湖」と「ケールシュタインハウス」について紹介してみました。
機会に恵まれることがあれば、ドイツ・アルプスの雄大な姿と、そしてまたアルプスが造り出した神秘の湖、その両方を楽しまれることを、ぜひぜひおすすめしたいと思います。
(以上)