ナポリ近郊の島・カプリ島といえば「青の洞窟」で有名ですが、イタリア屈指の高級リゾート地となるだけあって、それだけが見どころというわけではありません。ではカプリ島には、一体どのような観光スポットがあるのでしょうか。そのいくつかを紹介してみたいと思います。
東のカプリ地区と、西のアナカプリ地区
前回お話ししたとおり、ナポリからの船が到着するのは、北岸の港マリーナ・グランデです。フェリーを使えば約75分。水中翼船だと、その半分くらいの時間で済みますが、情緒という点では劣ります。
カプリ島はマリーナ・グランデを中心として、東のカプリ地区と西のアナカプリ地区に分かれています。どちらも高台にできた町ではありますが、商店やホテルなどが立ち並んで賑やかなのは、カプリ地区の方です。
カプリ地区のおすすめスポットは?
マリーナ・グランデからカプリ地区の中心「ウンベルト一世広場」の手前までは、ケーブルカーやバスがありますが、その先はタクシーでも無理。何と言っても、狭い坂道や石段が入り組んだ町ですから仕方ありません。
狭い町のことですから、自由に歩き回ればいいわけですが、どこかを目指すのであれば、島の北東、高い断崖の上に建つローマ皇帝ティベリウスの別荘「ヴィラ・ジョヴィス」の遺跡か、南東にあるトラガーラ展望台あたりがおすすめです。
トラガーラの展望台に行くまでには、サン・ジャコモ修道院やアウグストゥスの庭園などもありますし、そこからは南海岸沿いの絶景が楽しめます。
アナカプリ地区のおすすめスポットは?
島の西側「アナカプリ地区」には、ウンベルト一世広場の近くからバスに乗ればOK。アナカプリ地区の中心、ヴィットリア広場へはさして時間も掛かりません。広場のそばからは、ソラーロ山(589m)へのリフトもありますから、より高い所からの眺望を楽しみたいという方にはピッタリです。
また、ヴィットリア広場から少し東に戻ったところには、この島に住み着いたスウェーデン人の作家アクセル・ムンテの別荘「ヴィラ・サン・ミケーレ」があります。見晴らしが素晴らしい上に、敷地内で発掘された古代ローマ時代の彫刻のコレクションまで展示されています。
ヴィラ・サン・ミケーレまで行ったのであれば、是非とも見ていただきたいのが、そのそばにある「フェニキア人の石段」です。
フェニキア人がこの島に渡って来たのが紀元前1200年頃のこと。彼らが築いた石段は、その後ギリシャ人の手で修築されたあと、さらにローマ人が手を加え、19世紀の後半に今の道路ができるまで使われてきました。
今でこそ、アナカプリ方面へは簡単に行けるようになりましたが、それまでは断崖上に造られたこの石段だけが、往来の手段だったわけです(元は800段ほどあったそうですが、今でもそのうちの500段ほどが残っています)。
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